【技術】量子コンピューター、来年度予算に32億円 米国先行に危機感

次世代コンピューターの開発競争が過熱している。米IBM(IBM.N)などが本命とされる量子コンピューターの開発競争でリードする一方、NTT(9432.T)など日本勢は「組み合わせ最適化問題」の解決に特化したコンピューターで一足先の実用化を目指している。

だが、将来の産業社会で主導権を握るには「本命」の開発は避けて通れない。危機感を持つ文部科学省は来年度予算の概算要求に光・量子技術の推進費として32億円を盛り込んだが、欧米に比べ1ケタ少なく、研究者の間からは予算の格差を危惧する声も聞かれる。

<限界打破の決め手>

「半導体の集積密度は、18カ月で2倍になる」というコンピューターの性能向上を支えてきたムーアの法則。だが、半導体の微細化は限界に近づき、最近ではその終えんもささやかれるようになってきた。

この状況を打破する決め手として注目されているのが、量子コンピューターだ。

従来のコンピューターでは、0か1のいずれかの値をとるが、量子コンピューターは0でもあり、1でもあるという量子力学の「重ね合わせ」という概念を利用するため、複数の計算を同時にできるのが特徴だ。

基本単位は「量子ビット」と呼ばれ、量子ビットの数をnとすると、最大で「2のn乗」通りの計算を同時に行える。

量子コンピューターは、大きく2種類に分類できる。1つは「量子ゲート方式」と呼ばれるデジタル型の量子コンピューターで、もう1つが「量子アニーリングマシン」に代表されるアナログ型の量子コンピューターだ。

IBMなどは、量子ゲート方式を開発中。汎用性があるため、量子コンピューターの本命と言われているが、現在、量子ビットは十数個にとどまっており、実用化にはなお相当の時間がかかりそうだ。

ただ、仮に実用化されれば、通信暗号を短時間で読解できるようになるため、現在のセキュリティシステムの前提が覆る可能性がある。

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