胃がんで無駄死にしない技術

胃がんの99%がピロリ菌の感染です。
WHO(世界保健機構)では、いまから20年以上前の1994年に「ピロリ菌は胃がんの原因である」と認定した。2014年にはピロリ菌除菌に重点をおくべきだと発表している。
しかし、日本では「ピロリ菌が胃がんの原因である」という事実の認知度が、あまりにも低い。それに、私は警鐘を鳴らします。
ピロリ菌とは?
ピロリ菌(ヘリコバクター)は、胃の粘膜にすみつく細菌です。
本体の長さは、4ミクロン(4/1000)で、2.3回、ゆるやかに右巻きにねじれている。
一方の端には、「べん毛」と呼ばれる細長い「しっぽ」(べん毛)が4~8本ついていて、くるくる回しながら活発に動きまわる。ヘリコバクターピロリ菌とは、強酸という過酷な環境である胃の中に棲むことができるユニークな細菌です。1982年に、オーストラリアのバリー・マーシャル(微生物学者)とロビン・ワーレン(病理学者)が発見しました。2005年マーシャル先生たちは、この業績によりノーベル賞を受賞しました。
感染の原因
口から口、糞から口、飲料水から口へ
ピロリ菌は、ほとんどが幼児期に感染するといわれている。幼児期は胃の中の酸性が弱く、ピロリ菌が生き延びやすい為母から子へなどの家庭内感染がおこる。下水道が十分に普及していなかった時代の人、1970年代の人はピロリ菌感染率は高く、10代20代の人は欧米とかわらない。ネパールやチリ、インドでは、井戸水から培養できたという報告がある。ガンジス川などはピロリ菌の宝庫で、インド人の感染率は高く、20代の人の9割以上ピロリ菌を保持しているそうだ。
中学生くらいで除菌しておく方がよい
ピロリ菌についていえば日本では、中学生で検査・除菌を行うべきだ。なぜなら40歳代以下の若い人も、年間1000人以上が胃がんで亡くなっている。それを改善するためには、50歳から始まる胃がん検診で対策しているだけでは意味がない。主な感染原因は親から子への感染なのだから親になる前に確実に除菌することが重要である。
幼少期では体が小さく大人と同じ治療を行うことは出来ないし、妊娠、授乳期の人は除菌したくても、抗生物質が飲めない。それに年齢がたてばたつほど、ピロリ菌も抗生物質への耐性を獲得して強くなってしまい、ちょっとやそっとじゃ除菌できなくなる。
どんどんゴキブリが殺虫剤で死ななくなっているのと同じようなものだ。大人になってから除菌しようとしても、なかなか上手くいかないこともあるという。
ピロリ菌の検査方法
内視鏡を使う検査方法
内視鏡を使う方法では、胃の中の様子を観察すると同時に内視鏡により採取した胃の組織を用いて行う。
A「迅速ウレアーゼ試験」、B「鏡検法」、C「培養法」の検査
A 迅速ウレアーゼ
内視鏡検査のときに、胃の中から2か所から組織を採取する。そして、ピロリ菌のもつ酵素のはたらきで作り出されるアンモニアの量を調べて、ピロリ菌がいるか調べる。判定には、1時間~2時間かかります。
B「鏡検法」採取した組織を染色して顕微鏡で観察することによりピロリ菌がいるか調べる。
C「培養法」採取して組織を培養してピロリ菌がいるか調べる。
内視鏡を使わない検査方法
A 抗体測定
血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べる。
B 尿素呼気試験
朝空腹時に、炭素の同位元素からできているユービットという錠剤(尿素製剤)を飲み、一定時間後、吐き出された息を調べてピロリ菌を調べる。
C 便中抗原測定
便を採取してピロリ菌抗原があるかどうか調べる。
ピロリ菌の病気
慢性胃炎 → 萎縮性胃炎 → 腸上皮化生 → 胃 癌
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、機能性胃腸症、胃ポリープ、突発性血小板減少性紫斑病、未分化型胃がん
除菌療法を始まるとおこる副作用
軟便、下痢、味覚異常などの副作用がおこる場合がある。発熱、アレルギー反応など
ピロリ菌の除菌、胃炎で健康保険がきく
何故、保険がきくようになったかというと、胃がんになったあとの方が、圧倒的に金がかかるからだ。手術・抗がん剤治療に比べると除菌した方が安いということになる。しかし、よく注意してほしいのは、胃炎が進行してからの除菌は胃がんになるリスクを30%~40%減らすことが出来たにすぎないということです。ピロリ菌を抗生物質で除菌したら、2か月に1回は病院に行って除菌が成功したかチェックをするべきです。
ピロリ菌の除菌薬を飲んだ人は、「もう大丈夫だから」と健康診断で胃カメラを断る場合がある。だが、それで結果として発がんに気づかず、胃がんの発見が遅れて亡くなってしまう人もいる。
残念だが、除菌による胃がんの予防効果は100%ではない。ピロリ菌検査で陽性だった人は、除菌後も胃がんになっていないかを調べるために、一年に一回定期的な内視鏡検診が必要です。
※ 世界保健機関(せかいほけんきかん、英: World Health Organization, WHO、仏: Organisation mondiale de la santé, OMS)は、人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された国際連合の専門機関(国際連合機関)である。略称は英語式(WHO)と仏語式(OMS)で異なる。日本をはじめ多くの国では英語略称のWHO(ダブリュー・エイチ・オー)が多用される。
1948年設立。本部はスイス・ジュネーヴ。設立日である4月7日は、世界保健デーになっている。
WHOでは「健康」を「完全な身体的、精神的及び社会的 福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」(WHO憲章前文)と定義しており、非常に広範な目標を掲げている。