フィンテックとは (4)

金融機関にとって自分たちの金融サービスのアンバンドリングは収益機会の喪失を意味します。そして収益機会の喪失は、金融機関の売上、利益そして雇用を減らすことにつながります。コンサルティング会社のマッキンゼー&カンパニーは、2015年版の中で、今後10年間で、フィンテックによって銀行の売り上げが40%減少し、利益は60%減る可能性があると予測しました。またアメリカの大手銀行シティグループは2016年3月の「デジタル化による破壊」というレポートの中で、アメリカの銀行の従業者数は2015年の257万人から2025年には180万人に減少する可能性があるとのショッキングな予測を発表しました。その意味でアンバンドリングを狙うフィンテック企業は金融機関にとって「破壊者」となりうるのです。
利用者の選択肢が広がる
一方、利用者の立場からすればアンバンドリングは歓迎すべきことです。利用者にとってどこの銀行からお金を借りるかというのは、実はそれほど重要なことではありません。利用者にとって重要なのは自分に最も適したローンが提供されることです。利用者にとってフィンテックは新たな選択肢の一つになりつつあります。実際、英国のP2Pの海外送金サービスを手がけるトランスフォーワイズが、北米、アジア、欧州の9000人を対象に実施したアンケートでは、「銀行サービスの代用としてフィンテックサービスを利用したことがある」との回答が32%になりました。ここで利用されたフィンテックサービスはアップルペイやアンドロイドペイなどのモバイルペイメントサービスや、ロボアドバイザーなどが含まれます。さらに「5年以内に利用を開始すると思う」という回答が48%、「将来的にフィンテックをメインサービスとして利用すると思う」という回答が32%となっています。現在起きている金融サービスのアンバンドリングと、それによって引き起こされる金融業界の破壊を意味するフィンテックをこのサイトでは「フィンテック2.0」と名づけました。
フィンテック3.0 機能も情報も部品になる
急増するAPI
API (Applicotion Programming Interface)とは、あるソフトウェアから別のソフトウェアの「機能」を呼び出す手順や仕組み、規制を指す言葉です。もともとはシステム開発のプログラミングの世界で使われていた言葉ですが、近年のウェブサービス上でのさまざまなサービスをつなげるための仕組みとして、もう少し広い意味で使われるようになりました。ウェブサービス上でのAPIは特に「ウェブAPI」と呼ばれることもあります。ウェブAPIの代表的な例として、最も有名なのはグーグルマップでしょう。グルメ検索サイトや旅行サイトなどで、お目当てのレストランやホテル、観光地のくわしい地図をよく見ると、グーグルマップの地図が使われているのをご覧になった方も多いでしょう。APIは外部のプログラムやサービスやデータを「部品」として活用できる仕組みです。グーグルマップの場合はグーグルが提供する地図画像データや経路検索などの機能を部品として活用することができます。アマゾンの提供するAPIを使えば、商品紹介や注文処理、支払処理までもが利用できます。
現在利用可能なAPIが数多く公開されています。利用可能なウェブAPIの検索サービスを提供しているプログラマブル・ウェブに登録されているAPIは、2016年6月現在で3万種を超えています。金融領域でのAPIの活用は、当初、いわゆるフィンテック系のスタートアップ企業から始まりました。例えば、マーケットデータを提供している米国企業のエシグナイトは、主要な株式市場や為替などのマーケット情報をAPI経由で提供しています。導入に際して初期費用がかからず、利用料に応じて課金される同社のサービスは、ネット系証券会社や、フィンテック系スタートアップ企業の多くに利用されています。