フィンテックとは (6)

しかしその状況は序々に変わっていきます。1つは「ポータル」と呼ばれる多様なサービスの玄関口といえる巨大なプレーヤーの登場でした。ヤフーに代表されるポータルは、その傘下にさまざまなサービスを統合し、利用者はヤフーのアカウントさえ持っていればいろいろなサービスが利用できるようになりました。メール、カレンダー、映画情報、グルメ情報、ブログなど。そして現在、スマートフォンの普及とクラウドコンピューティングの登場が新たな状況を生み出しています。現在のインターネット産業は、ネットワークとその上で動くサービスに加え、そのサービスにつながるモバイル端末、そしてそのモバイル端末上で動くアプリといったさまざまな要素が連携・補完しながら成長・拡大する構造になっています。このような多様な参加者が協調して成長・拡大を目指す構造を、自然界の生態系になぞらえて「エコシステム」と呼びます。代表的な例はiphoneを中心としたアップルのエコシステムでしょう。

このような「エコシステム」が金融の世界にも登場する、もしくは既存のネット上の「エコシステム」が金融機能を取り込んでいく段階を「フィンテック4.0」と名付けたいと思います。金融のエコシステムの事例をいくつか取り上げてみましょう。1つはアメリカの投資銀行であるJPモルガンのケースです。JPモルガンは、自社の中小企業向け貸出の与信審査にフィンテックベンチャーであるオンデックの人工知能を活用した与信モデルを採用することを発表しました。自社のビジネスプロセスにまったく異なる組織のサービスを組み込んだのです。またもう一つは中国のSNS企業の大手である「ウィーチャット」です。ウィーチャットは日本のLINEなどに似たメッセンジャーサービスを提供する企業です。ウィーチャットのユーザはなんと6億人を超えています。中国の国民の約半数が使ってる計算になります。このウィーチャットは、友人同士がお互いの携帯電話にQRコードを送ることで簡単に送金ができます。またウィーチャット上のアプリには映画の前売り券の購入ができるアプリがあります。そして映画を見終わった後は帰宅のタクシーを予約し、支払いもウィーチャットのアプリで済ませられます。そしてこれらのアプリはウィーチャットが提供しているAPIを利用して作られています。このようにアンバンドリングされた金融サービスがAPIとして提供され、そのAPIをつなぎ合わせることで金融機関以外の事業者も新たな金融サービスを作り出せる時代が到来しようとしています。金融の世界にも新たな「エコシステム」が誕生しつつあっるのです。そしてインターネットの世界で起きたビジネスモデルの変化が金融の世界でも繰り返される可能性があります。