ブロックチェーンについて(2)

金融機関が注目するブロックチェーン

調査会社グリニッジアソシエイツが2015年7月に金融機関のエキスパート102名に行ったアンケート調査結果によると、回答者の役半数が「ビットコインやブロックチェーン技術に関するリサーチや事業への検討を行っている」と回答しています。今同じ質問をすれば、この比率はもっと高くなっているでしょう。さらに、もう一歩踏み込んで、ブロックチェーンの活用が金融業務に劇的な効率化をもたらすとする予測もあります。サンタンデール・イノベンチャーズは、ブロックチェーンのアイデアにもとづく分散型型元帳管理を銀行業務に適用した場合、2022年までに銀行業務のコストを年間150億ドルから200億ドル削減できる可能性があるとのレポートを発表しています。実際、金融業界にとどまらずあらゆる領域でブロックチェーンの研究が行われているといっても過言ではないような状況です。現在研究が進められているブロックチェーンの適用分野を列挙したものが図Ⅵ-2です。金融機関がブロックチェーンに期待する理由として以下の3点が挙げられます。

①ダウンタイムがないシステムが安価に構築できる可能性がある:金融機関のシステムは止まることが許されないシステムです。そのため金融機関のシステムは二重三重の安全策が講じられています。そしてそのために膨大なコストが費やされています。しかしブロックチェーンを活用すれば非常に安いコストで止まらないシステムが構築できる可能性があります。

②事務手続き、取引のチェックや監査の削減:金融取引には改ざんや不正が行われていないことを示すための厳密で複雑な事務手続きが行われたかを監査する必要があります。しかし改ざんが不可能で、しかも誰でも取引内容をチェックできるブロックチェーンを利用すれば、これらの作業がいらなくなる可能性があります。

③高いセキュリティ:金融システムはさまざまな外部のシステムと相互に接続しています。そのため外部からの侵入を防ぐために高いセキュリティが求められます。しかし、そもそも改ざんが不可能なブロックチェーンを利用すれば、外部からの侵入リスクを考えずに済むかもしれません。

既存の金融システムは非常に複雑で、コストがかかる仕組みです。しかも国際的な金融取引や複雑な金融商品は増える一方ですし、さらには厳格化される規制の対応も重なって、システムの複雑さとコストは増加する一方です。しかし、長年にわたって機能を追加・拡張した複雑なシステムを一気に別のシステムに移し替えることは現実的ではありません。そのような中で、ブロックチェーンの可能性に金融業界が大きな期待を抱くのも無理はありません。しかし、ブロックチェーン技術には未知数な点も多く、本当に金融システムに適用できるかは、今後の検証を待たなくてはなりません。

ブロックチェーンの適用が研究されている分野

金融分野

・決済・送金・為替取引・電子マネー・ポイント・マイレージ・地域通貨・地域復興券・クラウドファンディング・ソーシャルレンディング・クレジットカードシステム・銀行勘定系システム・銀行内資金決済システム・銀行間資金決済システム・中央銀行システム・証券取引システム・証券決済システム・債権管理システム・電子記録債権・保険契約管理・遺言信託・信託管理システム

非金融分野

電子チケット・著作権管理・登記システム・電子鍵システム・レンタカー管理システム・公的証明書発行・サプライチェーン管理・電子カルテ・裁判記録・犯罪記録・SNS、メッセンジャーサービス・投票システム・マーケットプレイス・ストレージサービス・IoT・発電システムなど

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